ホリプロ

『パレード』(2020-2021) 感想

ミュージカル『パレード』を観ました。初演を観に行くことができず、本当に再演を心待ちにしていた作品でした。観劇前は、「やっと上演を待ちわびていた作品が見れるんだ」という喜びと、緊張が入り混じっていました。

★2月6日 17:00、2月7日 12:00
梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

あらすじはこちらのホリプロ公式サイトが分かりやすいです。

観終わったあとは、あまりの没入感に嬉しい疲労が溜まっていた。事件のことは知っていたのに、やり切れない思いが、舞台の紙吹雪のように降り積もっていたのだった。作中の裁判シーンで、裁判長が陪審員への問いかけを客先側に行う。まるで「あなたが陪審員だったら?」と問いかけているかのように。もしわたしがその場にいたら、”正しい”判断をできるだろうか。

それはきっと、その人の経済的な状況や置かれている立場によって変わるのだ。作中、裁判で証言した人たちの中には、検事に脅されたり、騙されたりして嘘の証言をした人がいる。”嘘の証言をした”ということの背景には、複雑に入り組んだ社会構造がある。この作品では、人種の問題、北部と南部の問題、それらが緻密に入り組んで結果として「冤罪」という悲劇が生まれたのだと感じている。このことは現代に通じると思っていて、日々ニュースがある中で、表面の事件の背景に何重にも複雑な社会構造がある。そのことを自分の気持ちではなく、客観的なデータなどを参照して日々の出来事を捉えていきたい。

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そのようなことを考えながら、キャストやスタッフの皆様の素晴らしさを同時に感じていた。Jason Robert Brownの音楽に、キャストの皆様のハーモニー。コーラスが素晴らしくて圧倒された。何より今回、ルシール・フランク役の堀内敬子さんの熱演が素晴らしかった。1幕と2幕でのルシール像について、1幕は「世間知らずなお嬢様」だったのが、2幕では「勇敢に戦う女性」として演じられている。特に忘れられないのがラストシーン。レオの結婚指輪を持って、アトランタで生きていく覚悟をしたルシール。2回見たけれど、ルシールは涙を流しながら、決意を固くしているように見えた。このシーン忘れずにまぶたの裏に焼き付けておきたい。”This is not over yet”、”All the wasted time”の石丸幹二さんとのデュエットも素晴らしかった。

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このコロナの状況の中で、上演してくれたことに感謝しかありません。わたしは幸運にも2回も見ることができたし、お席もすごく良い席で、この作品を堪能することができました。悲しい現実は終わることなく、まるで毎年来るパレードのように繰り返されるのでしょう。それでも “This is not over yet.”という希望を持って、前を見続けたいと思います。